FLOW-3D スイッチの製作:シミュレーションによるHPDC方案の改善


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スイッチの製作:シミュレーションによるHPDC方案の改善

最近、Littler Diecast社は航空宇宙用途の電気式スイッチフレームの再設計および鋳造を行いました。以前は、異なる製造業者により製造されていましたが、欠陥の多さとスクラップ率低減のために新形状が必要でした。Litteler Diecastは問題の予備知識がなくともシミュレーションを通してその欠陥を正確に指摘できることを証明しました。このことはクライアントを感動させ、仕事を獲得することができました。

問題の特定

初期方案による部品のX線透過試験結果。ポロシティが確認できる。

初期方案による部品のX線透過試験結果。ポロシティが確認できる。

スイッチ部品はA380アルミニウム材からなり、寸法はおおよそ31.75 x 25.4 x 12.7mmです。Littler Diecastはポロシティ欠陥を板部と円筒部の2か所に発見しました。これは顧客により確認されました。どちらの箇所にもポロシティが形成されています。これらは鋳造方案に要因がありました。溶湯は図1に示す1本ゲートから製品に入り、板の奥側に向けて勢いよく流れこんでから手前に逆流していました。その際に巻き込まれた空気は初期の凝固によりトラップされポロシティとして残りました。同様の問題は円筒部にも観察されました。溶湯は勢いよく遠くへ広がった後に手前に逆流し、その際に巻き込まれた空気は鋳型分割面から排気されずに残りました。

オリジナル方案形状

Fig1.初期方案形状 (1本ゲート)【溶湯速度】

Fig1.初期方案形状 (1本ゲート)【溶湯速度】

オリジナル方案には他の問題も含んでいました。ロックワッシャー用みぞと板の底部にあるシール面の周辺に鋳型の溶損が多数生じていました。また、部品の角に設けられたオーバーフローは欠陥を吐き出すのに十分な大きさではありませんでした。

Littler Diecastは FLOW-3D を用いて湯流れ挙動を解析し、鋳型内で発生していることを視覚的に突き止めました。このような小さい部品では、薄肉部の急冷による初期の凝固が問題になります。溶湯が部品を横切って勢いよく流れ、そのあと逆流してくる場合、溶湯の冷却時間が長くなり、巻き込まれた空気は初期凝固によりトラップされてしまいます。理想的なのは最も熱い溶湯が最後まで流入しつづけることです。これを考慮して、Littler Diecastは多くのアイデアを試行した結果、欠陥発生の可能性を最小化し、管理限界を最大化することが出来ました。

最終方案形状

 

Fig2.最終方案形状(3本ゲート)【溶湯速度】

Fig2.最終方案形状(3本ゲート)【溶湯速度】

3つの大きな方案形状変更により、鋳物品質は非常に改善しました。まずゲートとランナーを再設計し、3本のゲートを通して全く異なる方向から流入するようにしました。第2の変更はオーバーフロー形状の拡大です。これら2つの変更の相乗効果により、板部の逆流を抑制し最後まで最も熱い溶湯が流れ込めるようになりました。第3の変更は円筒部内の逆流を抑制するために行い、ゲートの位置と進入角を変更しました。

この新方案は鋳型溶損の可能性低減にもつながりました。変更後の溶湯は円筒内の空洞を形成するコアピン部へ勢いよく流れるようになりました。コアピンは取り替えることが容易なので、鋳型鉄材よりも迅速に低コストで補修することができます。工具などすでに準備された後に問題が発見された場合の高価な設計変更コストを排除するため、これらすべての方案変更は新鋳型を製造する前に行いました。

検証

生産工具の準備が全て整った後、Littler Diecastはショートショット、X線透過試験、破壊検査を通して方案変更の効果を検証しました。ショートショットではランナー間のバランスが認められ、X線透過試験では目視できるポロシティはありませんでした。破壊検査では結晶粒構造が空孔を含まないことを確認しました。以上より、もし故障が発生したとしても、それは材料強度によるものであり鋳造欠陥ではないことを証明しました。

X線透過試験結果。店頭から選出した最終方案によるサンプル部品。

X線透過試験結果。店頭から選出した最終方案によるサンプル部品。

 

  ※出典参照 : Flow Science社 Case Studies

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