FLOW-3D 中子ガスモデルのポロシティ予測機能による鋳物品質の向上


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FLOW-3D 中子ガスモデルのポロシティ予測機能による鋳物品質の向上

目標:

複雑形状鋳物に生じる中子ガスブロー欠陥の位置を特定すること
設計者が複数ベント位置の評価を鋳込みより前に行えるようにすること

FLOW-3D の結果:

中子ガスブローに起因する廃棄率30%低減、設計プロセス期間短縮によりGeneral Motors Powertrain
およびGraham-White Manufacturingは競合他社より優位に立つことが出来た

高品質鋳物の製造

鋳造メーカーは初期試作において品質目標を達成するために、数多くの事前設計をする必要があります。近年、湯流れ・凝固・微細組織成長および残留応力予測に対するシミュレーションソフトウェアが一般的になっています。しかし、まだ徹底的に取り組まれていない鋳造欠陥の一つに中子ガスブロー欠陥があります。この問題の物理現象は溶湯、中子とバインダー間の複雑な相互作用を含んでいます。その扱いに失敗すると、廃棄率が高くなる可能性があります。多くの場合、高温な注湯温度を高くするか欠陥が予測される部分に対し巾木を追加する程度の簡単な対策であり、完全に解決することは出来ませんでした。

中子ガス流束、バインダー重量分率、排気ガス率のような結果を、 FLOW-3D の中子ガスモデルにより分析することができる。

中子ガス流束、バインダー重量分率、排気ガス率のような結果を、
FLOW-3Dの中子ガスモデルにより分析することができる。

最適な砂中子崩壊の設計

GMエンジンブロックのウォータージャケット(バインダー重量分率)

GMエンジンブロックのウォータージャケット(バインダー重量分率)

以前は、材料および鋳物技術者は中子ガス気泡によるポロシティ欠陥問題を見つけたとき、標準的な一連の問題解決法を試していました。バインダー含有量の低減、中子ベントの増加、中子の被覆や中子の事前焼成などです。中子ガスの通り道を見ることは出来ないので、対策に時間を取られ、1部品を完成させるのに数週間かかることもあります。また、異なる部品で欠陥が発生するたびに、そういったことが繰り返されてきました。

このプロセス期間短縮を望む市場の声が、鋳造シミュレーションソフトウェアの開発を促進してきました。設計者と製造者の双方に有益なのは、試作費などを浪費することなくさまざまな案をコンピューター上で試すことができる点にあります。鋳物メーカーがシミュレーションを用いてベントの設計ができるように、Flow Science社は中子ガスモデルを FLOW-3D の鋳造解析機能として最近追加しました。

中子ガス流れへのCFD手法の適用

レジンを主成分とするバインダーの化学的な複雑性により、砂中子の熱崩壊後に中子ガス流れがどこでどのように生じているかを理解することは簡単ではありません。しかし、Flow Science社は数社と共同研究を行い、実験データを取得し、中子ガスモデル計算結果との比較を行いました。アルミ合金、鋳鉄、鋳鋼の鋳込み時のレジン中子ガス流量情報はGeneral Motors、Graham-White Manufacturing Co. およびAlchemCast L.L.C.から提供頂きました。

関連情報:

FLOW-3D鋳造分野への適用事例:中子ガスの生成・中子ガス欠陥の予測 >

GM Powertrainの鋳造解析技術者であるDavid Goettsch博士は、 FLOW-3D による湯流れと凝固解析を15年間行ってきました。新しい中子ガスモデルは設計フェーズにおいてウォータージャケット中子のベント設計の最適化にとても役に立っています。製作済の中子鋳型に新たなベント用通路を設けることは、巾木に対する他要件の制約から簡単ではありません。「中子ガスベントの事前解析により、試作開始時に生じる高いスクラップ率を予防することが出来ます。おそらくプロセスの変更により中子ガス欠陥の問題を解決することが出来るでしょう。しかし、そうなる為には長いテスト期間が必要です」と、博士は説明しています。

FLOW-3D v9.4以降で利用できる中子ガスモデルにより、Goettsch博士はインサート型とベントの位置に対するさまざまなテストと幅広い診断を行いました。ガスの生成量、それがどこへ向かうのか、そして溶湯に取り込まれる前にどれだけのガスが排気されるかを観察しました。「問題の根本的な要因を実際に観察することが出来ることがとても良い。これらの可視化は実現象で起きていることを理解するのに優れている」 と博士は述べています。

複合中子へのチャレンジ

中子ガスブロー欠陥を避けるため、内部形状を伴う鋳造用の中子巾木は十分な排気性能を必要とする。

中子ガスブロー欠陥を避けるため、内部形状を伴う鋳造用の中子巾木は十分な排気性能を必要とする。

Graham-White Manufacturingの鋳造技術者であるElizabeth Ryder氏は、ガスポロシティは観察することが難しいと主張します。彼女は「特に複合中子では、問題の発生源となる中子を特定することは容易ではありません。」とも述べています。

生産中の部品数は1700種類にもなります、それらのいくつかは年間生産量が10,000個にもなります。Graham-White社はシミュレーションを通してその製造プロセスを改善することに積極的です。

レーザースキャンにより作成された鋳鉄部品(約76mm x 101mm)の3Dモデルにより、Graham-White社は評価用に現在のベント方案を提供しました。この方案は水平分割された鋳型のパターンプレート毎に4つの穴を含み、それぞれの穴は各中子のベントとして機能します。中央スプルーから各鋳型への充填は2秒以内に完了します。

FLOW-3D を用いたシミュレーションにより充填率を確認したところ、一つの中子で排気不良が生じていることが分かりました。Graham-White社は既存のベントを通してより多くのガスが抜けるように、中子により深い穴を開けることにしました。新しいベント方案への切り替えにより、同社は中子ガスブロー欠陥によるスクラップ率を約30%低減することができました。

「設計の焦点を絞り、(複数中子のうち)どの中子が犯人であり、さらに中子のどの部分に問題があるのかまで特定するのに FLOW-3D の結果は役に立つ」とRyder氏は説明します。さらに次のように述べています。「シミュレーションによる事前検討に時間をかければ、より良い結果が得られる。その結果、全体の期間を短縮することにつながります。」

  ※出典参照 : Flow Science社 Case Studies

 

 

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