CFDについて


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数値流体力学モデル化について知っておくべきこと

流体の流れおよび熱伝導の解析用ソフトウェアパッケージには多くの形態があります。物理的近似や数値解法の手法がパッケージごとに大きく異なるため、適切なパッケージを選択することは難しい課題となっています。以下の説明では、流動シミュレーションソフトウェアを選択する際に考慮するべき重要な項目をいくつか取り上げます。

メッシュ作成と幾何形状

有限要素または「物体適合座標」を採用している解法では、流体領域の幾何形状に適合する計算格子を生成する必要があります。正確な数値近似を得るために許容できる要素サイズおよび形状でこうした格子を生成することは、重要な作業です。複雑なケースでは、この方法で格子を生成すると、数日、または数週間かかる場合があります。プログラムによっては、長方形の格子要素のみを使用することによって、この生成の問題を排除しようとしていますが、その場合は、境界が階段状になり、流れや熱伝達の特性が変わるという問題に対処しなければなりません。FLOW-3Dでは、FAVORTM(面積率/体積率)法を使用して幾何形状の機能をスムーズに埋め込むことのできる、生成が簡単な長方形の格子を使用することによって、両方の問題を解決できます。シンプルかつ強力な固体モデラが、FLOW-3Dのパッケージに含まれています。また、CADプログラムから幾何形状データをインポートすることもできます。

運動量方程式と近似流れモデル

流体運動量の正確な処理が重要であることには、いくつかの理由があります。まず、これは、複雑な幾何形状を流体がどのようにして流れるかを予測する唯一の方法です。次に、流体によってかけられる動的力(圧力など)は、運動量からのみ計算できます。最後に、熱エネルギーの対流輸送を計算するには、他の流体粒子および閉じ込め境界に対する個々の流体粒子の相対的な動きを正確に把握することが必要です。このことは、運動量の正確な処理を意味します。運動量の保存を粗近似するだけの簡易的な流れモデルは、FLOW-3Dでは使用されていません。そうしたモデルは、現実的な流体構成や温度分布の予測に使用できないからです。

液体-固体間熱伝達面積

液体と固体の間(金属から鋳型など)の熱伝達には、界面面積の正確な見積もりが必要です。境界が階段状になっている場合は、この面積が大きく見積もられます。たとえば、シリンダの表面積は、27%大きく見積もられます。正確な界面面積は、FAVORTM法によって、FLOW-3Dプリプロセッサのコントロールボリュームごとに、自動的に計算されます。

液体-固体間熱伝達に対するコントロールボリュームの効果

コントロールボリュームのサイズが、液体と固体の間で交換される熱の比率や量に影響する場合があります。これは、熱も、液体と固体の界面を含むコントロールボリューム内を流れる必要があるからです。FLOW-3Dでは、液体と固体の界面をまたがる熱伝達率を計算する際に、コントロールボリュームのサイズと伝導率が考慮されます。

陰解法と精度

非線形方程式および結合方程式の陰解法には、反復ごとに不足緩和の特性を持つ反復解法が必要です。この動作により、状況によっては、重大なエラー(または収束速度の大幅な低下)が発生する場合があります。たとえば、アスペクト比が大きいコントロールボリュームを使用している場合や、実際には重要ではない効果を予想して陰解法を使用している場合などです。FLOW-3Dでは、可能な限り陽的数値法が使用されています。これは、必要な計算量が少なく、数値安定性の要件が精度の要件と同等だからです。詳しくは、「陰的数値法と陽的数値法」をご覧ください。

対流輸送のための陰的数値法

任意の大きさのタイムステップサイズを計算に使用できる陰的数値手法は、CPU時間の要件を低減するために多く使用される方法です。あいにく、これらの方法は、対流過程に対して正確ではありません。陰解法では、近似方程式に拡散効果を導入することによって、タイムステップの独立性を獲得します。数値拡散を物理的拡散(熱伝導など)に追加しても、拡散率が変更されるだけなので、重大な問題にはならない可能性があります。ただし、数値拡散を対流過程に追加すると、モデル化対象の物理現象の特性は完全に変化します。FLOW-3Dでは、時間が正確な近似を確実に行うために、プログラムによってタイムステップが自動的に制御されます。

緩和と収束のパラメータ

陰的近似を使用する数値法では、1つ以上の収束および緩和のパラメータも選択する必要があります。これらのパラメータを慎重に選択しないと、発散が発生したり、収束に時間がかかったりする場合があります。FLOW-3Dでは、収束パラメータと緩和パラメータを1つずつだけ使用し、両パラメータはプログラムによって動的に選択されます。数値ソルバを制御するパラメータをユーザが設定する必要はありません。

自由表面の追跡

液体と気体の界面(自由表面など)のモデル化に使用される方法は2つあります。1つは、液体、気体両方の領域の流れを計算し、界面を流体密度の急激な変化として処理する方法です。通常、密度の不連続は、高次数値近似を使用してモデル化されます。あいにく、この処理では、少数の格子セル上で界面が平坦化され、このような界面に通常存在する流れの接線速度の急激な変化は考慮されません。気体が計算領域に入る液体に置き換えられる場合は、この手法には、気体用の出口ポートまたは出口シンクも補う必要があります。また、このような方法では、通常は、流体の非圧縮性を満たすために、さらなる努力が必要になります。これが発生するのは、気体領域にはほぼ均一な圧力調整が必要であり、それによって計算の収束に時間がかかるからです。FLOW-3Dでは、VOF (Volume-of-Fluid)法という別の手法が使用されています。これは真の3次元界面追跡スキームであり、界面はステップ型不連続として厳密に管理されます。さらに、オプションの表面張力を含む垂直/接線応力境界条件が、界面に適用されます。気体領域は、モデルに含めるようユーザが要求しない限り、計算されません。

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