Ver.5.0 – 新機能


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FLOW-3D CAST What’s New Ver.5.0

FLOW-3D CAST Ver.5.0.のHPCバージョンのリリースを発表できることをうれしく思います。HPCバージョンはFLOW-3D CASTの最新機能と特別なGUIと合わせてリリースされます。FLOW-3D CASTのHPCバージョンは社内のクラスターにインストールできます。また、当社(Flow science社)の最新のクラウドプラットフォーム上で利用する事も出来ます。

全てが新しい FLOW-3D CAST Ver.5.0は鋳造シミュレーションとプロセスのモデル化に大きな飛躍をもたらします。ユーザーが選択する工法に応じて、適切なパラメータ、形状タイプ、およびデフォルト値が割り当てられます。これらによりシミュレーションの設定は大幅に簡略化されます。さらに、FLOW-3D CASTのロバストなシミュレーションエンジンと欠陥予測の新しいツールは設計サイクルの短縮とコスト抑制につながる情報を提供します。新機能には凝固シミュレーション向けとしてサーマルモジュラスとホットスポットに関する出力、湯流れシミュレーション向けにガストラップ位置と排気効率予測ツールが含まれます。また、より速くよりロバストな圧力および応力ソルバーを実装しました。

FLOW-3D CAST Ver.5.0は工法に関連するスイート(Suite)としてリリースされます。金型鋳造スイート(Permanent Mold Suite)には重力鋳造、低圧鋳造(LPDC)、傾斜鋳造のプロセスワークスペースが含まれます。ユーザーインターフェース(GUI)は選択した工法に関連する項目のみが表示されます。砂型鋳造スイート(Sand Casting Suite)は重力砂型鋳造、砂型低圧鋳造(LPSC)を含みます。ロストフォームスイート(Lost Foam Suite)にはSand Casting Suiteの全てとロストフォーム鋳造から構成されます。また、高圧ダイカストスイート(HPDC Suite)は熱応力および変形計算など高圧ダイカストに関連する全てが含まれます。各プロセスワークスペースには湯流れ、凝固、冷却のようなサブプロセスが含まれ、適切な順序で計算されます。また、溶解炉から溶湯を汲み、注湯カップやショットスリーブに注湯するようなラドルの移動工程を含めたシミュレーションにも対応することが出来ます。低圧鋳造では、るつぼの加圧をモデル化し、溶湯を鋳型内に押し上げるような注湯も可能です。 FLOW-3D CAST Ver.5.0があれば可能性に果てはありません。

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WYSIWYNプロセスワークスペース

見えているものが必要なもの(The What-You-See-Is-What-You-Need : WYSIWYIN)の思想に基づいたプロセスワークスペースは FLOW-3D CASTに合理的な使い易さと並外れたソルバー性能と精度を与えます。GUIはWYSIWYNデザイン思想が適用されることで簡素化され、設定が必要なパラメータのみが入力可能なようになります。

FLOW-3D CAST Ver.4.2から導入されたプロセスワークスペースは、金型鋳造、砂型鋳造、ロストフォーム鋳造に拡張されました。連続鋳造、ロストワックス鋳造、砂中子造型および遠心鋳造についても拡張予定です。

指定工法に関連する項目のみを表示することでシミュレーションの設定を簡素化

指定工法に関連する項目のみを表示することでシミュレーションの設定を簡素化

高圧ダイカスト鋳造のシミュレーションで利用できるコンポーネント。 例えば鋳型(Mold)には可動型、固定型、スライダーおよびショットスリーブなどが含まれる。

高圧ダイカスト鋳造のシミュレーションで利用できるコンポーネント。
例えば鋳型(Mold)には可動型、固定型、スライダーおよびショットスリーブなどが含まれる。

欠陥予測

粒子による湯流れ起因の欠陥の特定

空気巻き込みによるガス欠陥の特定は FLOW-3D CAST Ver.5.0から粒子を用いることで容易になりました。特定が容易になるだけでなく、それらを予測する計算コストも大幅に短縮されました。

従来は気泡がメッシュで表現できないほど圧縮された場合は、その気泡は計算から除外されていました(気泡が溶湯で埋まる)。新しいボイド粒子(Void particle)はメッシュサイズ以下に縮小した気泡をさらに追跡するために生成されます。ボイド粒子は微小気泡として振る舞い、溶湯の圧力や抵抗を受けて移動し、粒子径は周囲の溶湯圧に応じて変化します。充填完了時の粒子位置から巻き込み空気によるガス欠陥の危険性を評価することができます。

ガス粒子モデルによる巻き込み空気に起因するポロシティ予測

ガス粒子モデルによる巻き込み空気に起因するポロシティ予測

溶湯接触時間および鋳型接触時間

鋳型の溶湯に対する接触時間(Wall contact time)は溶湯にさらされた時間の長い鋳型表面位置の特定に役立ちます。これらの領域は鋳型表面の溶湯による浸食を受け易いといえます。一方、溶湯の鋳型に対する接触時間(Metal contact time)は溶湯が鋳型に接触した時間の積分値です。例えば、砂型では浸食により溶湯に巻き込まれた砂粒子がポロシティ生成の起点となることが知られています。この値はコンポーネント毎の接触時間だけでなく全コンポーネントとの接触時間も出力が可能です。Outputタブの”Wall contact time”をチェックすることで、これらの接触時間が出力されます。

引け巣の予測

押し湯の大きさを決めるためによく用いられるモジュラスが凝固シミュレーションの際に出力されるようになります。

円に含まれる領域は押し湯を必要とする位置を示す

円に含まれる領域は押し湯を必要とする位置を示す

ホットスポット

新しく追加されたホットスポット(Hot Spots)は押し湯の大きさと位置の設計や、凝固欠陥が発生しやすい領域の特定に役立ちます。ホットスポットは最終凝固位置を示しています。これらは球形状により表現され、色はホットスポット強度を示します。この値が大きい領域に押し湯を設置するべきです。

ポロシティ分析ツール

FlowSightに新しく追加されたポロシティ分析ツール(Porosity Analysis Tool)では、それぞれのポロシティ欠陥の体積、最大範囲、形状因子および総量を確認することが出来ます。

欠陥分析ツールによるポロシティの分析(ポロシティ体積)

欠陥分析ツールによるポロシティの分析(ポロシティ体積)

任意平面の2D断面表示

欠陥を確認する際、任意の平面による2D断面表示はとても役に立つ機能です。 FLOW-3D CAST Ver.5.0では非表示とするコンポーネントを選択するだけで溶湯の断面を表示できるようになりました。

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増圧オプション

高圧ダイカストのシミュレーションにおける増圧オプションの設定値はマクロおよびミクロポロシティモデルで同じものが適用されます。これにより欠陥サイズおよびプランジャーによる加圧力がより現実に近づきます。

引け巣サイズの調整係数

引け巣サイズの調整係数(shrinkage adjustment coefficient)は合金のパラメータを修正することなく、現実的な引け巣の大きさに合わせこみたい状況で役立ちます。この係数は凝固中の収縮量を単純に増減させるために用いられます。

shrinkage_ajustment_cofficient

ガス圧とベント効率

金型の排気方案の設計支援および湯流れ欠陥の特定を手助けするために、計算終了時のガス圧(gas pressure)とベント効率(venting efficiency)を湯流れシミュレーションの出力に追加しました。ガス圧は溶湯がセルを満たす直前のボイド圧を記録します。一方、ベント効率はキャビティから空気を最も効率的に逃がす領域を示します。

gas-pressure-venting-efficiency

データベース

データベースは設定時のエラーを抑制し、シミュレーションのワークフローを改善します。

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PQ^2分析に必要な情報を含む HPDCマシンのデータベース

PQ^2分析に必要な情報を含む
HPDCマシンのデータベース

いくつかの一般的なフォームフィルターを含む フィルターのデータベース。 新しいデータを追加することができる。

いくつかの一般的なフォームフィルターを含む
フィルターのデータベース。
新しいデータを追加することができる。

カスタマイズ可能なシミュレーションモニター

シミュレーション実行時に重要ですが手間のかかる作業としてシミュレーション状況の監視があります。 FLOW-3D CASTを用いれば、以下のような典型的なパラメータをモニターすることが可能です。

  • 溶湯のゲート通過速度
  • 鋳型内の凝固率
  • 溶湯および鋳型の最大/最小温度
  • プローブ位置の温度
  • シミュレーションの診断パラメータ(例えば, タイムステップサイズ, 安定制限)
  • プロットに関する機能

    シミュレーションマネージャーはより多くのグラフを描画できるようになりました。ユーザーはグラフの設定をカスタマイズし、データベースに保存することが出来ます。保存したデータは他のシミュレーションに用いることが出来ます。なた、グラフ上に表示する時刻歴データを指定し、複数追加することも可能になりました。

    plotting-capabilities-flow3d-cast

    コンフォーミングメッシュ

    コンフォーミングメッシュは任意形状の計算領域に適用できるように拡張されました。これはメッシュコンポーネント(meshing component)と呼ばれる新しいコンポーネントタイプを用いることで可能になります。

    さらに、冷却管やキャビティをコンフォーミングメッシュの適用範囲として選択することが出来るようになり、それらの形状に対して最適なセルサイズの定義が可能になりました。また、コンフォーミングメッシュをFAVORizeタブで表示できるようになりました。

    conforming-meshes-flow3d-cast

    形状と冷却管のサマリー表示

    FLOW-3D CAST Ver.5.0のGUIに複数の形状コンポーネントに関する設定情報をコンパクトに一覧表示する2つのウィンドウが追加されました。コンポーネントに対するサマリーと冷却管に関するサマリーウィンドウは任意の位置に配置することができ、重要な設定を素早く確認し、必要があればその場で修正することも可能です。

    コンポーネントの重量な設定値が表示されたサマリーウィンドウ

    コンポーネントの重量な設定値が表示されたサマリーウィンドウ

    その他の機能

    FLOW-3D CASTの多くの強力な機能はソルバーエンジンに詰まっています。以下ではいくつかの重要な開発項目について記載します。

    サーマルダイサイクリング(TDC)モデル

    サーマルダイサイクリング・シミュレーションの充填および凝固工程は非一様なキャビティ温度分布の適用により改善されます。キャビティ内の初期溶湯温度として湯流れシミュレーション結果またはユーザー指定の温度分布を用いることができるようになりました。これらにより従来の一様な初期溶湯温度を用いる場合と比較してより現実的で高精度な結果をもたらします。従来の手法も依然として使用することは出来ます。

    さらに、サーマルダイサイクリングを引き継ぐシミュレーションは任意の工程(セグメント)から開始することが可能になります。この拡張によりFLOW-3D CASTの他のモデルと同水準にまでTDCモデルのリスタートオプションの利便性を引き上げられます。最後に熱浸透深さモデルや温度一定オプションのような金型内の温度計算コストを抑制する機能の使用に関わらず、リスタートシミュレーションに全域の金型温度分布を受け渡すようになりました。(つまり、サーマルダイサイクリング→湯流れ→凝固と金型温度を引き継ぎながら計算する場合でも湯流れシミュレーションに熱浸透深さモデルが使用可能になった)

    湯流れシミュレーションから引き継いだキャビティ内の溶湯温度分布を サーマルダイサイクリングシミュレーションの充填セグメントに適用

    湯流れシミュレーションから引き継いだキャビティ内の溶湯温度分布を
    サーマルダイサイクリングシミュレーションの充填セグメントに適用

    スプレー冷却モデルに対する熱伝達係数計算ツール

    スプレー媒体と金型表面間の熱伝達係数(HTC)の見積もることは手間がかかります。新機能ではスプレーノズルからの媒体流量に基づき動的にHTCを計算します。さらにこのHTCを調節する1つの係数も追加しました。

    放射率

    放射率とステファンボルツマン定数の乗数を入力する必要があった輻射に関する入力変数を放射率のみとしました。

    時間依存テーブル形式による溶湯温度(Metal Inputs)

    “Metal input”パネル上のMetal temperature(溶湯温度)として、時間依存のテーブル入力が可能になりました。

    アクティブシミュレーションコントロール

    プローブ制御の熱源

    アクティブシミュレーションコントロールの機能に溶湯または金型に配置した熱電対による制御可能な熱源を追加しました。

    グローバルディション

    グローバルコンディションがアクティブシミュレーションに追加されました。これにより(ゲート速度をモニターする場合など)複数プローブに対する条件の適用や管理が非常に用意になりました。

    GMRES 圧力ソルバー

    圧縮性および非圧縮性流体のデフォルトの圧力ソルバーであるGMRES反復ソルバーの収束判定基準は、時間および空間スケールが異なる定常または非定常流れを含む広範囲なアプリケーションに対応すべくよりロバストになります。新ソルバーではハードウェア、並列コア数またはOSが違ってもより一貫した結果を得ることができます。

    形状の隙間を埋める処理

    形状表面の小さな隙間や突起の発生を排除することにより、複数のサブコンポーネントとコンポーネントの結合精度を向上しました。これはセルごとの体積分率の配置と面の向きを考慮することで実現します。

    CAD形状のトレランスに起因する隙間は製造要件として必要ですが、湯流れシミュレーションでは漏れを引き起こします。FLOW-3D CAST Ver.5ではこれらの隙間を埋めることが可能です。

    CAD形状のトレランスに起因する隙間は製造要件として必要ですが、湯流れシミュレーションでは漏れを引き起こします。FLOW-3D CAST Ver.5ではこれらの隙間を埋めることが可能です。

    FORTRANコンパイラー

    ソルバーに対するコンパイラーはIntel FORTRANのversion 16.0にアップグレードされました。新しいコンパイラーは以前のFLOW-3D CASTにも対応しています。

    FORTRANソースの形式はFORTRAN 77 固定フォームスタイルから自由フォームのFORTRAN 90に変更されます。ソースファイルの拡張子は*.F から *.F90に変更する必要があります。FLOW-3Dの以前のバージョンのカスタマイズソースルーチンはコンバージョンする必要があります。

    流体-構造 連成計算(FSI)および熱応力評価モデル(TSE)

    応力と変形計算用のGMRESソルバーにおけるデータ構造の最適化により有限要素(FE)の構造計算用ソルバーのスピードが向上しました。パフォーマンスは向上しますが、メモリー使用量、FEメッシュノード数は増加します。新しいハイブリッドソルバーでは入力ファイルの設定により余分に使用するメモリー量の制御が可能です。

    FlowSight – ポスト処理の改善

    FLOW-3D CASTの洗練されたポスト処理ソフトウェア- FlowSight – は新しい高性能なグラフィックエンジンによりアップグレードしました。ユーザーは描画品質の向上とシナリオファイルの著しく高速化した描画処理を体験すると思います。バッチポスト用のFlowSightのviewファイルはMeshing and Geometryパネルから直接作成できるようになりました。

    ハリウッドの鋳物

    もしあなたのプレゼンテーションで聴衆を驚かせるような要素を求めているならば、新しいキーフレームツールを使用してください。キーフレームはハリウッドで導入されたコンセプトです。私たちはまだオスカーにノミネートされたFLOW-3D CASTの映画を目にしたことはありませんが、”Best Shorts”カテゴリーにノミネートされる望みは持っています。

    キーフレームツールにより形状が分解したり飛び回ったりするような強力なキーフレーミング機能を利用することが可能です。

    key_framing

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